特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

メルマガバックナンバー・第9号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン第9号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010/8/27 ━━━

◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇
〔1〕『イージェイネットがズバリ聞く!働きやすい病院の作り方Q&A①』
   回答者:島根大学医学部附属病院   小林祥泰氏
            〃        内田伸恵氏
〔2〕 これからのイベントのお知らせ
①東京都:第2回 キャリアイノベーションセミナー
②茨城県:「持続可能な女性研究者支援 筑波大スタイル」
     第2回シンポジウム
〔3〕 ホスピレート説明会の日程(8~9月分)
〔4〕 NPO法人イージェイネット メルマガ事務局よりお知らせ

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◆今月のメルマガでは、イージェイネットがズバリ聞く!働きやすい病院
の作り方のQ&Aをご紹介いたします。
今回御回答していただいたのは、島根大学医学部附属病院長の小林祥泰氏
とワークライフバランス支援室長(がん放射線治療教育学)の内田伸恵氏
です。
特に今号では、病院やワークライフバランス支援室のご紹介、子育て中の
職員や大学病院で働く医師への支援策を中心にご紹介いたします。
(今回のQ&A特集は8~9月の2ヶ月間にかけて配信予定です)
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〔1〕『イージェイネットがズバリ聞く!働きやすい病院の作り方Q&A①』
   回答者:島根大学医学部附属病院   小林祥泰氏
           〃          内田伸恵氏
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□Q1
島根大学医学部付属病院について、簡単にご紹介をお願いいたします。
■A1
島根県の地域医療と高度医療を支える拠点として総合医的基盤を持った地域
医療人育成と高度医療人養成を目指して臨床教育充実に力を入れています。
患者さんの目線を意識した医療を提供するためチーム医療を推進しています。
2011年6月完成予定の新病棟は薬剤部や手術室、中央材料部以外は救急センター、ICU、HCU、Mid Care Unit (MCU)、小児センター、腫瘍センター、緩和
ケアセンター、女性専用フロアを含む特別個室病棟などすべて機能別、重症
度別にチーム医療が出来るよう新しいコンセプトで設計しています。
その後に改築予定の中央診療棟では臨床教育を重視した設計でシミュレータ
教育を中心とするスキルアップセンター、内視鏡・内視鏡手術トレーニング
センター、広い講義研修室を有する卒後臨床研修センターなど米国並みに臨
床教育を重視した病院を目指しています。
臨床教育の充実なくして研修医を集める魅力的な病院にはなれません。
臨床教育の先に優れた臨床研究者が生まれる環境が整い、患者さんにとって
魅力的な病院になっていくと思います。
↓島根大学医学部付属病院のホームページです。
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□Q2
貴院にて平成19年10月より設置され、平成22年4月にリニューアルされたワー
クライフバランス支援室について構成メンバーや事業内容、今までの取り組
みについて教えてください。
■A2
島根大学医学部は平成19年度文部科学省の大学改革推進等補助金(good pra
ctice)「地域医療等社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログ
ラム」に応募した「女性医師・看護師の臨床現場定着および復帰支援策
ーしなやかな女性医療職をめざしてー」が採択されました。
これをきっかけに、同年10月、医学部キャンパス内に女性スタッフ支援室が
開設されました。構成メンバーは室長(病院長)、副室長(内田)、医学部
キャンパスの教職員からなる女性にやさしい病院ワーキンググループメンバ
ー、病児・病後児保育担当看護師・保育士、カウンセラー(島根大学男女共
同参画推進室より派遣)、専任事務補佐員などです。
主な取組は、
1)広報や調査活動:女性スタッフ支援室のホームページやメールマガジン
による広報活動や医学部キャンパス教職員、学生を対象とした実態調査や意
識調査。
2)キャリア教育:女性医療職キャリア継続のための講演会・意見交換会の
実施によるロールモデルの提示。
3)経験豊富な先輩によるメンター制度や臨床心理士によるカウンセリング
の相談窓口の開設
4)病児・病後児保育室の開設
5)スキルアップ・復帰支援:女性のためのスキルアップ研修支援、離職女
性看護師復帰支援のためのプログラムを策定・実施。
6)Webを利用した在宅就労支援事業:Webを利用した遠隔診断システムの開
発、これは病理診断や画像診断を、女性医師が在宅で研修・実施できるもの
です。
文部科学省からの補助事業期間は平成22年3月で終了しましたが、外部評価
委員会の総括においても、実績は高く評価されたほか、各種メディアにも広
く取り上げられました。
↓女性スタッフ支援室ホームページ
文部科学省の補助が終了するに伴い、対象を男性を含む医学部の全教職員学
生に広げ、ワークライフバランスの改善やキャリア継続支援を目的としたワ
ークライフバランス支援室に改組となりました。
現在、内田が室長を拝命し、上記1)から4)を主におこなっています。
5)は附属病院看護部やクリニカルスキルアップセンターに、6)は附属病
院病理部、放射線科にそれぞれ事業を引継ぎました。
さらに 本年度からの新事業として、学童を対象とする一時保育、これを担
当するシッターの育成、学生を対象とした座談会の実施などを計画中です。
↓ワークライフバランス支援室のホームページです。
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□Q3
特に、貴大学病院で働く職員に対する子育て支援対策としてどのような取り
組みを行っていますか。ぜひ詳しく教えてください。
■A3
1)院内保育所「うさぎ保育所」
子育て支援・女性のための職場作りの一環として、平成18年4月に病院敷
地内に開設しました。
保育所は自然を大事にして木材を使って内装され、シックハウス症候群になら
ないよう配慮しています。平成21年春に増築し、広い遊戯室や給食室などが
整いました。
現在31名が在籍しているほか、毎月10名程度が一時保育を受けています。
平成22年春からは終夜保育も開始しました。
2)病児・病後保育室
ワークライフバランス支援室(旧女性スタッフ支援室)スタッフの看護師、
保育士による病児・病後児保育を実施しており、職員・大学院生・医学部学
生、委託業者の子弟が利用できます。
開設以来のべ360名以上に利用していただいています。
スタッフによる附属病院小児科の代理受診制度も、子供が急病でも職場を離
れることが難しい病院職員に好評です。
3)この他、女性職員休憩室や授乳室の整備、男性職員も妻の出産に伴って
休業取得が可能など多角的な取組があります。
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□Q4
貴大学に入学する女子医学生や附属病院の新規採用女性医師の状況について
教えて下さい。医学生や若い医師に対しキャリア育成の観点から、大学から
何らかの働きかけを行っているようでしたら、それも教えて下さい。
■A4
<医学科の入学者数と女性割合>
 平成19年度・・・  97名中 女性49名(50.5%)
 平成20年度・・・  95名中 女性38名(40.0%)
 平成21年度・・・ 105名中 女性34名(32.4%)
 平成22年度・・・ 110名中 女性50名(45.5%)
<新規採用医師数と女性割合>
 平成19年度採用・・・ 85名中 女性30名(35.2%)
 平成20年度採用・・・ 77名中 女性26名(33.8%)
 平成21年度採用・・・ 90名中 女性28名(31.1%)
 平成22年度採用・・・ 63名中 女性18名(28.6%)
このように、島根大学医学部における女子医学生割合および医学部附属病院
の新規採用医師中の女性医師割合は、全国の新規医籍登録者中の女性割合の約33%と同等あるいはそれ以上で推移しています。
島根大学医学部および附属病院にとって女子医学生、女性医師に対するキャ
リア教育やキャリア継続支援は大変重要となっています。
医学部新入生オリエンテーションや附属病院卒後臨床研修センターの早朝セ
ミナーで、ワークライフバランス支援室長が支援室の活動紹介やキャリア継
続の支援策を紹介しています。
また、ワークライフバランス支援室の実施する、相談窓口、講演会、意識調
査、病児病後児保育などは全ての職員、学生を対象としています。
医療職としてのモチベーションやキャリア継続意識を高めるには、学部学生
時代からの早期教育が必要であると考えています。
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□Q5
大学病院には、最大の働き手である研修医や非常勤医師(医員)が多数おら
れます。研修医や、医員のような常勤職員でないスタッフに対してのワーク
ライフバランス支援対応について教えて下さい。
■A5
島根大学医学部附属病院では2008年から、全国に先駆けて、今まで非常勤職
員(有期雇用職員)で日雇い労働者であった研修医、医員をすべて年俸制の
常勤職員としての病院診療職員(新設)に格上げしました。
内科などでは40才になっても医員の場合もあり、家のローンも安心して組め
る常勤職員の身分になることは大きな意義があります。
また、育児期間などは週1回でも可能なフレキシブル勤務が出来るようになり
ました。
これもワークライフバランスの大きな改善といえます。
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□Q6
医師のワークライフバランスという観点では、「診療科間に格差がある」や
「子育て女性医師ばかり優遇すると、男性・独身女性医師にしわ寄せが来る」
という意見もある中で、これらを緩和するためにどのように対応されていま
すか。
■A6
平成22年4月からは 島根大学医学部女性スタッフ支援室はワークライフ
バランス支援室として改組し、男性も女性もともにワークライフバランスを
保って働くための支援、男女を問わず医学生のキャリア継続支援をおこなう
こととなりました。
しかしながら、現状では、医師としてのキャリア継続の中で、仕事と育児や
介護との両立は女性にとって大きな問題であり、社会的支援も不十分です。
育児支援を中心とした女性スタッフ支援は、ワークライフバランス支援室の
事業の大きな柱ですが、これに加えて男性の育児参加も応援しています。
様々な意識改革や支援策、職場環境整備により、出産育児を理由とする離職
が減ることは、単身者、男性も含めた全職員のマンパワー増強、ワークライ
フバランスの改善につながると考えています。
平成22年1月に島根大学附属病院の各診療科長を対象に、“診療科におけ
る女性医師の就業実態調査”を実施しましたが、回答のあった23診療科中
19診療科で女性医師が在籍していました。
回答した全科が“女性医師の入局を歓迎”すると回答し、“女性医師の働き
方”については“個人の事情を配慮する”というものが多く、女性医師に対
して柔軟な勤務を許容するというのが、診療科サイドの公式見解になりつつ
あると考えます。
↓島根大学医学部附属病院のホームページはこちらです。
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〔2〕これからのイベントのお知らせ
①<東京都>
「第2回 キャリアイノベーションセミナー」を開催します。
【日時】9月12日(日) 受付13:15~  セミナー:13:30~16:30
【場所】学士会館 会議室310号室(東京)
【テーマ】女性医師支援策
【講師】
●東京女子医大 女性医師・研究者支援センター副センター長 竹宮孝子氏
●東京都北療育医療センター内科医長 竹内千仙氏
【対象】 医学生 および 若手医師 (性別は問いません)
【募集人員】10名程度
【セミナー会費】Ejnet会員 1000円、Ejnet非会員 3000円
【要事前申込】
9月3日(金)までに、イージェイネット事務局 ejnet@ejnet.jp へお申し
込み下さい。
(氏名、大学名と学年/勤務先と職位、連絡先(PC-mail)をお知らせ下さい)
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②<茨城県>
「持続可能な女性研究者支援、筑波大スタイル」第2回シンポジウム
◆平成 21 年度に採択された文部科学省科学技術振興調整費「女性研究者支
援モデル育成」事業 第2回シンポジウムを下記のとおり開催いたします。
今回は、<女性研究者のワーク・ライフ・バランス>と題して、多様な女性
研究者のご講演、事業活動の成果報告に加え、「ポジティブ・アクションは
必要でしょうか」と題したパネル・ディスカッションを行います。
【日時】9月30日(木)13時15分~17時20分
【場所】筑波大学大学会館 国際会議室
【基調講演】
  喜多悦子氏(日本赤十字九州国際看護大学長)
   「先進国型医療から途上国型国健へ-めぐり会った女性とその問題-」
【特別講演】
  Karen Aardal 教授:オランダ Delft 大学
  「 Women in Science in The Netherlands and Europe -- Facts and
   Personal Experience 」
【事業報告】 吉瀬章子 男女共同参画推進室長
【パネルディスカッション】「ポジティブ・アクションは必要でしょうか?」
【主催】筑波大学
【実施】筑波大学男女共同参画推進室
    http://www.geo-wlb.tsukuba.ac.jp/
【後援】茨城県、つくば市、筑波研究学園都市交流協議会
*当日は終了後、懇親会も予定しています.
(事前申込制(会費: 3,000 円)大学会館内レストランプラザ)
【お問合せ・お申込み】
氏名、所属、Eメールアドレスを男女共同参画推進室までメールでお願いい
たします。(託児室あり(事前申込制:締切9月21日))
geo@un.tsukuba.ac.jp
★詳しいお問い合わせ等は男女共同参画推進室 遠藤雅子まで
(イージェイネット会員) endo.masako.gb@un.tsukuba.ac.jp
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〔3〕働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会(8~9月)
【東京会場】
日程:H22年8月24日(火)18:30~19:30
   H22年9月28日(火)18:30~19:30
場所:東京都港区西新橋1-5-8 西新橋1丁目川手ビル8F
(JR新橋駅 日比谷口下車徒歩7分)
【大阪会場】
日程:H22年8月27日(金)14:00~15:00
   H22年9月24日(金)14:00~15:00
場所:大阪市中央区本町 1-6-16 野村不動産 堺筋本町ビル8階
(大阪市営地下鉄 堺筋線・中央線
堺筋本町駅 13番出口より東へ徒歩2分
堺筋本町駅 5番出口より北へ徒歩3分)
******<♪NPOイージェイネット メルマガ事務局よりお知らせ♪>********
今回お送りさせて頂いた8月配信(第9号)のイージェイネットメルマガは
いかがだったでしょうか?
今回のメルマガは、島根大学医学部附属病院の小林先生および内田先生にお
答え頂きました。特にワークライフバランス支援室を中心とした病院スタッ
フへの先進的かつ手厚い就労支援に大変感動いたしました。
次号のQ&Aでは、大学で働く看護師さん達への就労支援を中心に詳しくお答
え頂く予定です。
当メルマガでは、当NPOのホスピレート認証を実際に受けている病院より教
えて頂いた「働きやすい病院づくり」のポイントなど、参考になる情報を定
期的にお届けしますので、今後ともNPO法人イージェイネットの活動にご支
援くださいますようどうぞよろしくお願い申し上げます。(藤川)
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NPO法人イージェイネット  http://ejnet.jp/
(特定非営利活動法人 イージェイネット(女性医師のキャリア形成・維
持・向上をめざす会))
NPO法人イージェイネットブログも更新中!
http://ejnet.blog54.fc2.com/
このメルマガに対し、ご意見・ご感想・ご質問がありましたらメルマガ担当
の藤川までご連絡をお願いします。
(お問い合わせ先  ejnet-office@umin.ac.jp  メルマガ担当藤川)
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