特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

Ejnetメルマガバックナンバー・第52号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン第52号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2014/3/31  ━━
 
◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇
〔1〕『 子育て世代患者の家族(子供)ケアについて
           ~“毎日かあさん”は止められない~ 』
  ◆独立行政法人国立病院機構
        九州がんセンター放射線治療科   阿部 円香 氏 
  ☆著書推薦文『ママ、なんで?びょうきのママにききたいの』☆
   ◆久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門  小池 清美 氏 
 〔2〕新刊本のお知らせ
   『シーボルトの娘 楠本イネの志を継ぐ 
               ~女性医師と女子医学生の夢~』
 〔3〕イージェイネット事務局からのお知らせ
    * 働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会など
 〔4〕メルマガ事務局より編集後記
◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇
〔1〕『 子育て世代患者の家族(子供)ケアについて
           ~“毎日かあさん”は止められない~ 』
  
 この度、EJnetのコラムに寄稿させて頂ける御縁を頂き、嬉しく思ってお
ります。私は、がんの放射線治療医として九州がんセンターに勤務してい
ましたが、H24年に、多発性硬化症・自己免疫性肝炎と、いずれも厚生省
難病指定の病気を発症し、約1年にわたる入退院・自宅療養を経験しまし
た。
 幸いにも現在は両者ともに病状は落ち着き、少しずつ職場復帰させて頂
いている状況です。このコラムでは、自分の体験を通して家族(子供)ケア
について学んだ事を皆様とシェアさせて頂ければ幸いです。
●病はある日突然に 
 医療に携わっている人なら誰もが日常診療の中で、“病気は人生に突然
襲いかかってくるもの”“家族や周囲にも大きな影響を与えるもの”とい
う認識があると思います。私も、同世代のがん患者さんに接する機会も多
く、決して他人事とは思ってはいないつもりでした。しかし、我が身に降
りかかってきた「病気」というのは、想像を超える大変なものでした。思
うようにならない体調、精神的な動揺、激変する環境、、、そんな中でも
特に、当時3歳の娘の事は最も気懸りでした。入院中の世話をどうするか・
体調が悪い中での毎日の世話の大変さ、と言った生活面の対応から、急な
病気や入院をどう説明するかといった心のケアまで、多岐に渡る問題があ
りました。毎日新聞の連載漫画のタイトルではありませんが、どういう状
況になっても、“毎日かあさん”である事だけは止められないと痛感させ
られました。
●絵本が出来るまで 
 我が家の場合、娘は、私の入院中は実家に預かってもらい、保育園にも
そのまま通う事が出来たので大変恵まれていました。それでも、突然の母
の入院や祖父母宅に預けられるという環境の変化は、3歳になったばかり
の娘には十分な「謎」だったようで、“なんでママは病気になったの?”
“いつ帰ってくるの?”“なんでお医者さんなのに自分の病気が治せない
の?”“なんで病院から戻ってき来たのに元気がないの?”・・・などな
ど、質問攻めの日々が続きました。仕事がら、子供に親のがんを説明する
絵本などがあるのは知っていましたし、事実をきちんと伝えた方が良いと
いう概念も知っていましたが、いざ自分の事となると、いつ・どのように
伝えたら良いのか、言葉選びから慎重になってしまい、簡単なことではあ
りませんでした。
 そんな中で、入院中に娘の質問に答える為に作った絵本が、昨夏に発刊
した絵本の始まりでした。当初は、病院の売店で買った画用紙にサインペ
ンで描いたマンガでしたが、一冊だけでも製本して保存出来ないかと思い
地元の出版社に問い合わせたのをきっかけに、“子育て世代の患者さんの
お役に少しでもたてれば・・・”という思いが沸き、絵を描いてくれた友
達、専門家としてアドバイスを寄稿して下さった先生方、自らの闘病体験
を振り返ってくれた患者さん方、など沢山の方々のご協力のお陰で、一冊
の絵本となりました。立場を超えて、皆さんそれぞれが“患者さんのため
に”という思いのもと、協力して下さいました。
●子育て世代患者の家族(子供)支援について 
 絵本発刊後は、メディアから予想外の反響がありました。それは、この
10年で、子育て世代(20-40代)でのがん罹患数・うつ病などの精神疾患の
罹患数が明らかに増えている事実を反映しているのではないかと思います。
また、病気と一生付き合って行かないといけない難病・自己免疫性疾患・
膠原病・炎症性腸疾患なども、子育て世代での発症は少なくありません。
 厚生省の調べでは、親の病気は、里親制度や養護施設を利用する児童の
発生理由の約15%を占めていますし、がん患者の親を持つ低年齢児では約
半数にPTSDの症状がみられたという研究結果もあります。言い換えれば、
親の病気に伴う様々な変化を体験し、悩む子供達は確実に増えているので
はないかと言う事です。では、その子供達へのケアがなされているかと言
えば、まだまだ始まったばかりというのが現状です。
 がん領域では、厚生省支援グループのHope Treeが2008年に発足し、講
演会・ワークショップなど精力的に活動されていて、その支援の輪が広が
っています。私の勤務先である九州がんセンターでは、経験豊富な臨床心
理士が子供達のケアを担当し、家族の支えのひとつとなっていますが、そ
のような対応が可能な病院はまだ少数だと思います。精神疾患領域では、
2012年より、プルスアルハという精神科の看護師と医師で作成したユニッ
トが、親の精神疾患を子供に説明する絵本の作成や、講演会などの活動を
開始されています。難病・慢性疾患領域では、各患者会を主体として交流
会などの企画はあるようですが、私の知る限りでは、まだ系統だったサポ
ートは無いようです。
 病名は違っても共通している事は、闘病中の患者さんやご家族は、多く
は動揺・混乱・疲弊の中にあり、子供達のケアに関しても、自分達だけで
適切な対応をすることが難しいという現状です。医療者として、どこでど
んな支援が受けられるのか、どのような支援ツールがあるのかという情報
を把握しておく事は、とても大事なことではないかと思います。
 家族(子供)のケアは、子供だけでなく何よりも患者さん自身の大きなサ
ポートになります。私自身、闘病の辛さ・将来の不安・病気になった事へ
の悔しさ・思うように行動出来ない情けなさは、子供を心配し想う気持ち
とリンクして増幅して行き、子供を含めた家族の病気の理解や家庭の安定
は、自分の気持ちの安定・闘病意欲につながって行くと言う事を、自らの
体験を通して強く感じ、このケアの重要性を再認識しました。
 “緩和ケア”が日本でも広く周知され浸透して行ったように、“家族(子
供)ケア“も少しずつ支援体制が整って行くことを切に願っています。
●最後に
 がんや慢性疾患の患者さんの多くが、就労問題を抱えています。患者側
の立場に立ってみて現状を知れば知るほど、医療・福祉・行政が一体とな
って取り組まないといけない難しい問題だと考えさせられます。私自身は
現在、職場の温かい御理解のもとで体調に合わせた勤務をさせて頂いてお
り、本当に恵まれていると感謝しています。後遺症の問題もあり、決して
満足の行く仕事は出来ておらず情けなくなる事も多いのですが、それでも
多くの患者さん方が就労問題で悩んでいる現状を考えると、少しでも働か
せて頂ける事が有難く、また身の引き締まる思いも有ります。
 Ejnetは、医療者の職場環境改善・女性医師の支援に取り組まれておられ
ますが、私は病気となって、“自分自身が心身ともに健康である事は、良
い医療を実践する為に非常に重要な事”と痛感しました。患者さんに良い
医療を提供するために、医療者の職場環境改善は必須事項だと思います。
今後のEjnetの活動が益々御発展されることを祈念しております。
   ◆独立行政法人国立病院機構
         九州がんセンター放射線治療科  阿部 円香 氏
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 ☆著書推薦文『ママ、なんで?びょうきのママにききたいの』☆
             阿部円香・文 さとみ・絵 
 *書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)社
 ejnet は女性医師のライフワークサポートをして下さっているとのこと
で、是非、紹介させていただきたい絵本があります。“ママ、なんで?び
ょうきのママにききたいの“という絵本です。
 作者の阿部円香先生は気さくな方で、放射線治療医の女性医師です。円
香先生は気さくな方で、私の過酷な研修医時代を明るく優しく楽しく支え
て下さり、専門や大学は違いますが、それ以来、連絡を取らせて頂いてお
ります。2年前に病気になられ、ご自身の病状を幼い娘さんに説明する際
に、良い資料がなく、ご自身で絵手紙を綴り気持ちを伝え、昨年の夏に色
々な方との御縁と支えで絵本を完成し届けて下さいました。
 円香先生の素晴らしいところ、私が尊敬しているところは、ご自身の中
ではたくさんの複雑な思いや困難を抱えていらっしゃると思いますが、ク
ヨクヨ考え込まず、状況を受け止め(ているように見える)、前向きに、予
想以上のアウトプットが出てしまうところです。
 絵本の前半は、幼稚園児以下が対象の内容に、後半はサイコオンコロジ
ー臨床心理士、NPO法人慢性疾患セルフマネジメント協会の方など、色々な
専門家からのメッセージが掲載されていて、読み応えがあります。慢性疾
患患者さんをサポートする色々な専門家やコメディカルがいらっしゃるこ
とを、この絵本を通じて知りました。
 既に西日本新聞、毎日新聞、読売新聞、朝日新聞、地方テレビに取り上
げられました。絵本の収益は一部、難病関連団体に寄付されるそうです。
 「誰かの何かのお役にたてれば嬉しい」という円香先生のお気持ちが、一
人でも多くの「誰か」に届きますようejnetを介してご協力をお願い致しま
す 。
   ◆久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門  小池 清美 氏  
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〔2〕新刊本のお知らせ  
  『シーボルトの娘 楠本イネの志を継ぐ 
               ~女性医師と女子医学生の夢~』
 この度、西予市では当事業の第1回の応募作品(48点)を集めた作文集を
作成いたしましたので、お知らせいたします。
この一冊には、日頃知ることがない、女性医師や女子医学生たちのさまざ
まな願いや思いが込められていますので、ぜひこの機会にご購読ください。
★愛媛県西予市 楠本イネコーナー
★現在、下記のインターネット(Amazon)の販売と書店でお取扱い中です。
【製作・発売】ぎょうせい
【定価】1,000円+税
   (AMAZONでは配送料無料です)
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〔3〕イージェイネット事務局からのお知らせ 
*働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会
  東京と大阪にて、働きやすい病院評価・認証の説明会を
  事前予約制にて開催しております。
  説明会参加の旨をお申しでいただきましたら、
  随時、個別にて調整をさせていただきます。
  詳細は、イージェイネット事務局までお問い合わせください。 
【場所】株式会社アポプラスステーション 会議室
    〒102-0071 東京都中央区日本橋二丁目14番1号フロントプレイス日本橋8階
    JR東京駅 八重洲地下街23番出口より徒歩7分
    地下鉄日本橋駅 D1出口徒歩30メートル(浅草線・東西線・銀座線)
    地下鉄茅場町駅 12番出口徒歩3分(東西線・日比谷線)
    *平成26年4月より東京会場の場所が変更になりましたのでご注意ください。
【大阪会場】
 説明会は2週間程度前までにお申し込いただければ、随時開催を致します。
 詳細は、事務局までお問い合わせください。
【場所】 株式会社アポプラスステーション 大阪支店 会議室
    〒541-0043
    大阪府大阪市中央区高麗橋四丁目3番7号 北ビル5階
    大阪市営地下鉄 御堂筋線 淀屋橋駅12番出口より徒歩2分
  
******<♪NPOイージェイネット メルマガ事務局より編集後記♪>*******
 3月配信(第52号)のメルマガはいかがだったでしょうか?
今月のコラムは、九州がんセンター放射線科医の阿部先生にご登場頂き、ご
自身の難病へのリアルなご経験から、子育て世代患者の家族(子供)ケアの重
要性についてとても詳しくご解説頂きました。
 阿部先生から幼い子を持つ当事者としてのご経験と、医師としての視点も
含めた子育て世代患者の家族ケアへの問題提起には大変説得力を感じました。
何より、阿部先生ご自身の体調も難しい中で、子育て世代の難病・がん患者
様やそのご家族の状況、また就労支援や社会的サポート等についても詳しく
情報収集したりと勉強されておられ、今回絵本を読ませて頂いたりご連絡し
たりとやり取りする中で、私自身も大変勉強になると共に感服いたしました。
 そして今回、阿部先生を最初にご推薦して頂いたのが久留米大の小池先生
です。阿部先生の書かれた絵本がメディア等にも取り上げられて大変評判と
なっているとお伺いして、今回その内容についてとても分かりやすくご解説
頂きました。ご推薦内容の通り、本当に大変盛りだくさんの内容で多くの関
係者の皆様のご意見も掲載されており、ぜひご一読をおススメします!
 阿部先生、小池先生には大変ご多忙の中、ご執筆をご担当頂きまして誠に
ありがとうございました!
 さらに、愛媛県西予市様からの新書のご紹介を頂いています。本新書は西
予市で医学を学んだシーボルトの娘、楠本イネ氏にちなんだ「西予市おイネ
賞事業」に投稿した48名の女性医師・女子医学生の夢や使命感、悩みや現
場の厳しい意見などリアルな声が掲載されており、読み応えがありますので、
ぜひこちらもどうぞ!(個人的には医学生の時にこんな本があったら良かっ
たと思いました!女子医学生や女性医師の先生方のリアルなメッセージがた
くさん詰まっています~)
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