特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

Ejnetメルマガバックナンバー・第73号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン第73号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2016/1/31 ━━

◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇
〔1〕<<イージェイネット新年特別企画>>  
   『 代表理事 瀧野 敏子からの新年のごあいさつ 』 
     ◆ NPO法人イージェイネット代表理事  瀧野 敏子    
〔2〕『 山形女性医師ネットワークの活動について 』 
    1.山形女性医師ネットワークの設立と活動について
    2.志田周子(しだ ちかこ)先生と「全国女医JOY!サミット 
      in 山形県西川町」について 
    ◆ 山形女性医師ネットワーク会長 池田こずえ 氏
〔3〕イージェイネット事務局からのお知らせ  

◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇━━━━━━◆◇
〔1〕『 代表理事 瀧野 敏子からの新年のごあいさつ 』  
    
本年も、はやひと月が終わろうとしています。メルマガ読者のみなさんの
2016年がよいスタートを切れていることを心よりお祈りいたします。

2016年9月、第54回日本医療・病院管理学会学術総会にて、私は日本看護協
会会長・坂本すが氏、日本慢性期医療協会会長・武久洋三氏、日本長期急性
期病床(LTAC)研究会会長・上西紀夫氏とのパネルディスカッションに参加
いたします。それを機に、働きやすい病院評価・認証(ホスピ レート)が
今後の日本の病院のあり方にどのように役立てることができるのかを改めて
問い直し、真に存在価値のある事業とできるように考えておりま す。

また現在、株式会社メンタルサポート研究所と共同で、感情処理法・交流分
析(再決断療法)・人格適応論・愛着のカウンセリングを統合したカウンセ
リング手法を医療従事者向けにアレンジした新カリキュラムの開発に取組ん
でいます。こちらは女性医師のキャリア形成支援の新たなツールとして期待
できるものです。詳細が具体的にまとまりましたら、本メルマガ上で改めて
ご案内いたします。

“良質な医療を提供するための、よりより医療環境づくりを考える”という
テーマに関連して、今後もさまざまな話題をメルマガでお届けできればと考
えております。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

       ◆NPO法人イージェイネット代表理事  瀧野 敏子
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〔2〕『 山形女性医師ネットワークの活動について 』  
<著者の自己紹介>
1981年(昭和56年)3月     山形大学医学部卒業。
1985年(昭和60年)3月    山形大学大学院医学研究科修了。医学博士。
1985年(昭和60年)4月    山形大学医学部第一内科医員。
1986年(昭和61年)4月    山形大学医学部第一内科助手。
1993年(平成5年) 6月    山形大学医学部講師。
1995年(平成7年) 4月     済生会山形済生病院内科診療部長。
2011年(平成23年)7月  篠田総合病院循環器科医長。
                        現在に至る。
【専門分野】
 心電図学(体表面心電図マッピング・心筋虚血の診断)
 心臓リハビリテーション
 循環器内科学(虚血性心疾患・不整脈・高血圧症の診療)

2005年(平成17年)6月、山形県内の女性医師有志とともに、山形女性医師ネ
ットワークを設立、以降会長を務めている。
2014年10月、山形女性医師ネットワークが、平成26年度山形県男女共同参画
社会づくり功労者知事表彰を受賞した。
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■1.山形女性医師ネットワークの設立と活動について

 はじめまして、私は、山形県山形市で循環器内科の勤務医をしております、
池田こずえと申します。イージェイネットの会員であるとともに、2005年6月
に、山形県内の女性医師有志とともに、山形女性医師ネットワークを設立し、
山形県内の女性医師の生活と仕事の支援のために活動しています。

山形女性医師ネットワークのHP → http://yamajoseiishinet.fc2web.com/ 

「山形女性医師ネットワーク」は、山形県内の女性医師の生活と仕事を支援す
る目的で、2004年(平成16年)12月より設立準備を開始し、2005年3月に県内
の女性医師に参加の呼びかけを行い、2005年6月19日に設立総会を開催し発足
いたしました。設立から10年余、女性医師の生活・仕事の支援、会員相互の交
流、他の男女共同参画事業活動への協力の活動を、会員の協力のもとに進めて
まいりました。

「十年一昔」といわれますが、設立してからの十年は、女性医師を支援する環
境はかなり整備が進み、隔世の感がありますが、一方では、なんかあっという
間に十年がたったものの、女性医師の求めている支援はまだまだ実現されては
いないように思います。

 設立当初は、女性医師の生活と仕事の支援については、社会的にあまり注目
されていませんでした。日本医師会が2005年度に男女共同参画委員会を設立し、
2006年度から「女子医学生・研修医等をサポートするための会」「病院長等へ
の講習会」を各都道府県医師会で開催開始しました。2007年1月に日本医師会
女性医師バンクが開設され、日本医師会・都道府県などの行政・各医療機関な
どによる女性医師支援策が次第に普及してきました。ただ、多くの支援策は、
医師不足に対する施策としての女性医師復職支援事業が中心であり、本来私た
ちが求める「一人の医師として生活と仕事を両立させるための支援」とは趣旨
が異なる印象は拭い去ることができません。

 山形県では、全国の流れに先駆けて、2005年8月に発表された山形県のイン
ナーマニフェスト(当時の斎藤弘知事と各部局長が締結した政策合意)の健康
福祉部の政策の中に、「子育て中の女性医師を積極的に活用するための求人・
求職情報のマッチングを行う仕組みづくりの検討」の項目が入り、2006年11月
に山形県ドクターバンクが開設され、女性医師専用のページも設けられました。
女性医師専用ページの開設に当たっては、当ネットワークにも意見聴取があり、
要望をページ作成に取り入れていただきました。

 2006年秋には当ネットワーク独自で県内病院の院内保育所設置状況調査を行
い、これを受け継ぐ形で、2009年2月に山形県が、県内病院の女性医師への支
援状況についてのアンケート調査を実施し、県のHPに結果を公開しました。ま
た、引き続き、県内病院の女性医師への支援状況についてのアンケート調査・
支援を受けた女性医師へのアンケート調査が、2015年度中に山形県と山形女性
医師ネットワークの共同調査として行われる予定です。
 
 また、医学生・研修医・若手医師などからのキャリアカウンセリングを、HP
上で常時受け付けております。メールにて匿名で相談いただいており、数はあ
まり多くはありませんが、他県から山形県に転居される女性医師からの相談や、
県内で初期研修中の女性医師からの妊娠してしまったがどうしたら良いかなど
の相談に対応して来ました。

 当ネットワークでは、日本医師会の「女子医学生・研修医等をサポートする
ための会」より1年早い2006年3月から、講演会「山形女性医師ネットワーク:
女子医学生・研修医との集い」を定期的に開催し、会員・一般医師・男女医学
生・研修医との交流・懇談を行ってまいりました。2008年3月からは名称を
「医学生・研修医との集い」と改め、男子医学生へも参加を働きかけてきまし
た。また、2008年3月と2009年3月の特別企画シンポジウム「女性医師が仕事を
続けるためにⅠ・Ⅱ」では、復職支援だけでなく、就業継続のための支援が山
形県においては重要であることをアピールいたしました。
 
 2007年7月からは、気軽な茶和会形式の「サマーパーティー」も年1回開催し
ています。2014年からは、冬の講演会から秋の「オータムフェスティバル」に
変更し、「サマーパーティー」「オータムフェスティバル」の年2回開催とし
ています。これらの活動については、平成19年度(2007年)からは、山形県よ
り、女性医師サポート事業のうち「女性医師と女子医学生等のつどい」事業と
して、委託事業費をいただいております。

 活動の記録として、会員のエッセイなどとともに、2008年2月から、2年に一
回、機関誌「YJIN」を発行しております。機関誌の名前は、2005年7月から運
用している会員用メール通信の名前「YJIN」と同じですが、山形のY、女性の
J、医師のI、ネットワークのNで、JINは、人であり、仁であり、尽であり、迅
であり、joinに通じるという意味を込めています。2015年10月には、第5巻を
発行しました。2013年8月以降の活動の記録と、各会員の体験談・随想、そし
て新企画の県内各病院の病院長インタビューを掲載いたしましたところ、病院
長インタビューは大変好評で、ある病院からは、研修医の勧誘用にと、掲載
部分のPDFのリクエストをいただき、喜んで提供させていただきました。

 2014年10月には、当ネットワークが、平成26年度山形県男女共同参画社会
づくり功労者知事表彰を受賞いたしました。山形県初の女性知事である吉村美
栄子知事(2009年2月より就任)から、直に表彰状をいただきました。今まで
の活動をご評価いたものと、大変光栄に思います。今後とも、医師・医学生の
生の声を聴きながら、男女医師の生活と仕事の支援を目指して、活動を続けて
いきたいと思っています。

 私が山形大学医学部の3期生として入学した1975年(昭和50年)は、定員100
名中の女性は11名で、1期生9名、2期生3名、4期生5名と、女性は数%~10%で
した。現在の山形大学医学部医学科の入学者に占める女性の割合は、山形大学
のHPに公表されているデータを集計すると、現在6年生に当たる、2010年度入
学(38期生)では125人中28名(22.4%)、2011年度入学(39期生)では125人
中59名(47.4%)、2012年度入学(40期生)では125人中51名(40.8%)、2013
年度入学(41期生)では125人中36名(28.8%)、2014年度入学(42期生)では
125人中42名(33.6%)、そして2015年度入学(43期生)では123人中62名(50.
4%)と半数を超すまでに増加しています。
 
 下の文章は、私が2008年1月、YJIN第1巻に書いたものです。「男性が圧倒的
に多い医師という業種のなかに女性が入って」という部分に、私の卒業当時の
医師としての意識が垣間見えます。
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『医師として、男女の別は無い。女である・男である前に、ひとりの人間であ
り、ひとりの医師で ある。ずっとそう思って、私は医師としての仕事を行っ
てまいりました。

 私は、昭和56年(1991年)春の卒業ですが、そのころは医学部の学生の中で、
女性の割合はせいぜい5~10%でした。男性が圧倒的に多い医師という業種のな
かに女性が入っていくのですから、男性と同じように仕事ができるのは当たり
前で、どこかは男性より優れているところがなければ意義がない、そんな風に
思ってずっと仕事をしてきたように思います。私は、幸いに私の両親と同居し
ており、同業の夫との間に生まれた子供2人は、全面的に両親が世話をしてく
れましたし、2人とも丈夫で熱を出したこともなく、仕事にほぼ完全に専念す
ることができました。しかし、私が入局した山形大学医学部第一内科の同僚の
女性医師の方々は、共働きで子供さんを託児所に預け、子供が熱を出したとき
には呼び出されたりなど、大変な苦労をされていて、頭の下がる思いでした。
 
 今は、女性医師は年々増加の傾向にあり、全国医師の約16%となっており、
特に20歳代の医師の約30%が女性です。山形県内では保険登録医の約13%が女性
であり、山形大学医学部の女子学生の割合も各学年40~50%と大変多くなって
きています。しかし、卒後2年間の臨床研修制度の法制化、医学の各分野の高
度技術化・専門化などのために、卒後教育の期間は以前より長くなり、その一
方、結婚・妊娠・出産・育児などでの支援体制は他職種に比べ全く不十分であ
り、女性医師をとりまく環境は依然として厳しいと考えられます。かつて女性
医師にとって、仕事と、家庭・育児の両立は、自分自身が頑張り、家族と協力
し、また同僚などにサポートしてもらって、成し遂げてきたことでした。しか
し、女性が医師として働くことが、ごく当たり前になった今の時代こそ、女性
医師の生活・仕事について、個人個人の努力に頼るだけでなく、きちんとした
支援のシステム作りが必要になっていると思います。
 
 そんな思いから、平成16年(2004年)12月より有志が集まって、山形県内の
女性医師の生活と仕事を支援する組織作りを開始し、平成17年(2005年)3月
に「山形女性医師ネットワーク」として県内の女性医師に参加の呼びかけを行
い、同年6月19日に設立総会を開催し、発足に至りました。』
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 私が卒業して医師になった頃は、先輩・同僚の医師のほとんどが男性でした
が、今の若い女性医師にとっては、先輩・同僚の医師のかなりの割合は女性で
す。かつては、職場での女性医師の支援といえば、男性医師に仕事をサポート、
カバーいただくことが多かったわけですが、現在においては、女性医師の先輩
・同僚のかなりは女性医師であり、職場における仕事のサポート、カバーにお
いても、女性医師同士の支援が、大変重要だと思います。

 医師を取り巻く状況がさまざまに変化していく中で、変化に対応しながら、
男女を問わず過重労働となりがちな医師の生活と仕事の支援を目指して、今後
も活動を続けていきたいと思っています。
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■2.志田周子(しだ ちかこ)先生と「全国女医JOY!サミット in 山形県
   西川町」について 

 山形県には、戦前から戦後にかけて、無医村であった大井沢村(今は合併し
て西川町の一部)で医師として生涯を捧げた、志田周子医師がいらっしゃいま
す。志田周子先生は、明治43年(1910年)10月28日に左沢で生まれ、父の故郷
であり、父が教師として赴任した旧・大井沢村で育ち、昭和3年(1928年)4月、
東京女子医学専門学校(現東京女子医科大学)に入学。同校を卒業後、大井沢
村長であった父の願いを請け、昭和10年7月、当時無医村であった大井沢村に、
唯一の医師として赴任したそうです。当初は3年だけという約束だったそうです
が、ずっと大井沢の村医として、診療や児童健診に従事され、また、女性議員
(村・町議会)として、アララギ派の歌人としても活躍されました。昭和34年
に保健文化賞を受賞されるなど、数々の受賞をされましたが、昭和37年(1962
年)に、51歳の若さで、がんにて病死されました。

 志田周子先生の生涯の映画化が、市民の募金を中心とした「志田周子の生涯
を銀幕に甦らせる会」http://www.sidachikako.com/index.shtml  
により進められ、ついに映画「いしゃ先生」http://ishasensei.com/index.html 
として完成し、2015年11月7日(土)から、山形県内先行ロードショーが始ま
りました。今年1月には全国公開が始まりました。

 山形女性医師ネットワークでは、志田先生の生誕100周年を記念して2010年
10月に開催された「志田周子生誕100周年 記念講演&コンサート」を後援さ
せていただき、2011年2月に開催された山形県医師会主催「女性医師をサポー
トするためのシンポジウム ~志田周子先生 生誕100周年記念特集~」の企画
や司会をお手伝いさせていただきました。また、2013年2月16日に設立された
「志田周子の生涯を銀幕に甦らせる会」には、会長が理事として参加していま
す。

 映画「いしゃ先生」の完成を記念して、2015年11月28日(土)、29日(日)に
「全国女医JOY!サミット in 山形県西川町」が、開催されました。山形女性
医師ネットワークは、志田周子を銀幕に甦らせる会、西川町とともに、全国女
医JOY !サミット実行委員会を結成し、この企画に参加いたしました。

 11月28日(土)午後、山形駅東口バスプールに集合し、映画館フォーラム山
形で「いしゃ先生」を鑑賞した後、貸切バスで西川町に向かいました。西川町
立病院では、パネリストでもある西川町立病院総合診療科の渡辺舞先生が合流
し、渡辺先生の案内で、町立病院を見学させていただきました。その後、大井
沢に向かい、旧大井沢診療所を見学しました。旧大井沢診療所は、映画の撮影
のため、当時の様に修復されたとのことで、外装はきれいに塗装され、内部に
は、映画にも出てきた周子先生の診療机や、診療器具、薬品棚などが置かれて
いました。実際の志田周子先生の写真と映画のシーンのパネルも展示されてい
ました。夜は1日目の参加者16名と西川町関係者5名で交流会が開催され、席上、
山形女性医師ネットワークの活動も紹介させていただきました。

 29日(日)は、間沢の西川交流センター「あいべ」を会場にサミットが開催
されました。参加者は約230名で、男女医師、医療関係者、看護学生、一般市民、
地元町民などが参加しました。司会進行は、山形女性医師ネットワーク副会長
の川合厚子が行いました。開会セレモニーとして、サミット実行委員長の山形
女性医師ネットワーク会長池田こずえが主催者挨拶を行い、引き続き、西川町
長が歓迎の挨拶を行いました。

 基調講演では、「女医志田周子から現代の女性医師の意義を語る」と題して、
島根県隠岐広域連合立隠岐島前病院/西ノ島町国保浦郷診療所 白石裕子先生
から、離島での診療の実情をお話しいただきました。隠岐島前病院、近隣の浦
郷診療所、隣島の知夫診療所を6人の総合診療医でカバーするブロック制をとり、
医師を離島勤務の孤独感やストレスから守る工夫をしていること、専門領域に
おいては眼科、耳鼻科、精神科、整形外科、産婦人科の医師が定期的に来島し、
外来診療支援を行っていることが紹介されました。ジオパークに登録された豊
かな自然、マリンスポーツや釣りなど、島ならではの魅力がいっぱいで、職員
が発信するFacebookなどの情報が反響を呼び、医師やメディカルスタッフの見
学も多いとのことです。ただ、島では治療ができない重症患者の搬送時に、悪
天候でヘリコプターが使えず、船で途中までの輸送を行ってヘリコプターにつ
なぐなどの、島ならではの苦労もあるとのことです。医師として仕事をしなが
ら、4人の子育ても行っている白石先生は、歴代5人に上る子育てサポーターの
協力をいただいているとのことで、住民の協力・助け合いが重要であると話さ
れました。祭りには積極的に参加して、仕事も生活もenjoyされている先生の
姿が印象的でした。

 パネルディスカッションでは、「女医であることがJOY!になるために」
をテーマに、作家・脚本家(映画「いしゃ先生」原作・脚本)のあべ美佳 氏
がコーディネーターを勤め、パネラーとして、島根県隠岐広域連合立隠岐島前
病院/西ノ島町国保浦郷診療所 白石裕子先生、山形県健康福祉部長 中山順
子氏、「日経メディカル」編集部 副編集長 井田恭子氏、西川町立病院総合
診療科 渡辺舞先生が登壇されました。

 まずは、渡辺舞先生から、医師としてどのように働いているか、勤務時間・
当直・土日の日当直についてなどが紹介されました。西川町立病院は常勤医師
4人で、当直は週に約1回はあり、当直明けの日も通常勤務であることが紹介さ
れました。当直明けの日も通常勤務なのは、山形県内の多くの病院でも、白石
先生の病院でも同様で、「日経メディカル」の調査でも、全国の多くの病院で
同様に当直明けの日も通常勤務であることが、各パネリストから紹介されまし
た。
 
 また、フロアからは、全国保険医団体連合会所属の岩手県の女性医師から、
全国保険医団体連合会で行った、全国の女性開業医を対象とした、産前産後の
休暇取得の調査では、法定では、休暇は産前6週(取得可能)、産後8週(義務)
であるが、調査では産前休暇10日以下が約6割、0日の場合もあり、産後も30日
以下が約6割、うち10日以下が約2割と、大変に短い結果であると報告されまし
た。勤務医と違い、開業医では、患者のことや従業員のことを考えるとなかな
か産前産後休暇がとりづらい状況であると考えられます。

 さらに、代診医がなかなか見つからない状況では、女性医師が妊娠・出産に
ふみきれないという現状が示されました。代診医の確保・そもそもの医師数の
増加には行政の指導力も必要だと思われました。「医者は神様だ」として、僻
地医療を1人の医師に背負わせることの危険性がコーディネーターのあべさんか
ら提示されました。僻地医療を担当する医師の負担を軽くするために、期限を
区切ってのローテーションなどが紹介されました。

 地域医療をになう医師が働きやすい環境にするには病院・行政の努力も必要
であるし、また、医師と住民の橋渡しをする、看護師や病院職員、行政職の協
力も欠かせないとの提言がなされました。また、2人の医師からは、地元の祭り
・行事などに積極的に参加していくことで、患者さんとのつながりも増え、診
察もよりスムーズに行くようになるとの体験談が出され、非常に感銘をうけま
した。1時間半があっという間に過ぎ、大変密度の高いシンポジウムとなりま
した。

 映画「いしゃ先生」の原作として、9月に小説「いしゃ先生」が発行され、
11月には、すでに3刷まで増刷されるヒットになっています。小説「いしゃ先
生」のラストには、「誰かの犠牲の上に成り立つ医療など、あってはなりませ
ん」という言葉があります。これは原作者の、あべ美佳さんからの、私たち医
療従事者への力強い支援のメッセージだと感じました。ただ、現実には、今現
在でさえ、医療従事者の生活の一部が、仕事の犠牲になっている一面は否定で
きません。

 このサミットは、偉大な先輩である、志田周子先生をとおして、現在の医療、
とくに地域医療と、女性医師をはじめ医療従事者のあり方について、みんなで
考える機会にできればとの思いをこめて企画しました。地域医療の面白さを知
り、地域とのつながりを大事にし、全国で診療を行っている、女性医師および
男性医師が、生き生きと仕事が続けられるよう、医療従事者・住民・行政が、
それぞれの立場で努力をしていくことを願ってやみません。

 以上、「全国女医JOY!サミット in 山形県西川町」の報告でした。

●山形女性医師ネットワークの記事 


<イージェイネット事務局よりお知らせ>
 ★映画「いしゃ先生」★
  2016年1月9日(土)より
  ヒューマントラストシネマ有楽町・名演小劇場 
  他 全国順次公開中です。

     ◆ 山形女性医師ネットワーク会長 池田こずえ 氏
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[3]イージェイネット事務局からのお知らせ

 *働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会
  東京と大阪にて、働きやすい病院評価・認証の説明会を
  事前予約制にて開催しております。
  説明会参加の旨をお申し出いただきましたら、
  随時、個別にて調整をさせていただきます。
  詳細は、イージェイネット事務局までお問い合わせください。
【場所】株式会社アポプラスステーション 会議室
    〒102-0071 東京都中央区日本橋二丁目14番1号フロントプレイス日本橋8階
    JR東京駅 八重洲地下街23番出口より徒歩7分
    地下鉄日本橋駅 D1出口徒歩30メートル(浅草線・東西線・銀座線)
    地下鉄茅場町駅 12番出口徒歩3分(東西線・日比谷線)
  *平成26年4月より東京会場の場所が変更になりましたのでご注意ください。
【大阪会場】
 説明会は2週間程度前までにお申し込いただければ、随時開催を致します。
 詳細は、事務局までお問い合わせください。
【場所】 株式会社アポプラスステーション 大阪支店 会議室
    〒541-0043
    大阪府大阪市中央区高麗橋四丁目3番7号 北ビル5階
    大阪市営地下鉄 御堂筋線 淀屋橋駅12番出口より徒歩2分
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