特定非営利活動法人 イージェイネット(Ejnet)

医療業界の就労環境改善や、適正な人材評価が行われるための仕組みづくりをお手伝いします。

Ejnetメルマガバックナンバー・第81号

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◆◇NPO法人イージェイネット メールマガジン81号◇◆
「時代をリードする医療人が働きやすい病院の作り方、お教えします」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2017/1/1  ━━
◆◇━━━━━━━━◆◇◆今月のニュース◆◇◆━━━━━━━━━◆◇
〔1〕年頭のご挨拶
      NPO法人イージェイネット 代表理事
瀧野 敏子
 
〔2〕『「働いてよかった」と思っていただけるような病院をめざして』
      熊本地域医療センター
院長   廣田 昌彦  氏
〔3〕著書紹介 『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』
NPO法人イージェイネット ホスピレートサーベイヤー
国立国際医療研究センター国府台病院
内野 三菜子  氏

〔4〕イージェイネット事務局からのお知らせ 
   「医師・看護師向けカウンセリング講座」開講のお知らせ(第2報)
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〔1〕年頭のご挨拶
      NPO法人イージェイネット 代表理事
瀧野 敏子

明けましておめでとうございます。

新年は米国の大統領交代にともなう政治経済の変化に始まり、イスラム文化と西欧文化の衝突、経済格差、自然災害への脅威、核のリスクなど激動の時代の幕開けが予想されます。このような激変する世界の渦中にあっても、わが日本は右顧左眄することなく「時代によって変わらぬ価値観」に基づいて、アジアの<老練な星>となり世界の信頼されるパートナーとなることを切に願います。
イージェイネットもまた初心に帰って志を大きく持ちたいと思います。

安倍内閣の推進する「働き方改革」にもあるように我が国は、長時間労働のきしみがとくに若い世代に暗い影を落とす現実に危機感をつよめています。働きやすい病院評価・認証事業(ホスピレート)は時代の波に乗り、ますます事業者としての社会的責任を感じるところです。

とはいえ一方、医療業界においては、とくに急性期病院勤務医の長時間労働(いわゆるサービス残業を含む)を前提に、病院医療が成り立っている現実であることは病院への現地訪問審査でも目の当たりにするところであり構造的矛盾はひとつのNPO法人では解決しない大きな課題でもあります。
そこを踏まえたうえでホスピレートの使命は全国の病院にとって働きやすい、人を活かす病院を認証することで全国の病院のお手本として「病院版働き方改革」を進めていくことです。

昨年はイージェイネットとして、第54回日本医療・病院管理学会学術総会でパネリスト、日本プライマリ・ケア連合学会秋季生涯教育セミナーではワークショップを主宰し双方とも大変好評をいただきました。

さて今年のイージェイネットは働きやすい病院評価・認証事業の認証病院増加と再認証にむけて医療業界のステークホルダーとの協働を進めていく計画です。事業の認知度を高め認証のメリットを前面に打ち出して理事、サーベイヤー、評価委員が一体となって努力してまいります。
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


〔2〕 『「働いてよかった」と思っていただけるような病院をめざして』
       熊本地域医療センター
院長   廣田  昌彦  氏

当院は、昭和56年に開設された熊本市医師会立の病院で、病床数227床、
常勤医34名で運営しております。医師会立というポテンシャルから、「病診連携」を他院に先駆けて着手した、先見性のある病院でした。開設当初からのこの試みは、すぐに地域からの期待へと変わり、紹介率も高く、地域のDr.からも頼られる存在へと成長しました。しかし、時代は流れ、「病診連携」は当院だけの特色ではなくなり、紹介患者数は次第に減少していきました。加えて、就労環境が病院発足当時のままで、世の中の動きに追従してはおりませんでしたので、看護師、薬剤師を中心として、離職が拡大し、病院の「元気」がなくなっていました。これ以上の職員減は、病院の存続そのものを危うくするところまで来ていました。そんな中の平成23年4月に私は院長を拝命しました。私に課せられた使命は「病院に元気を取り戻すこと」であったと思います。
人がいなければ病院は成り立ちません。看護師、薬剤師の減少がめだちましたが、他職種職員も決して就労環境に満足しているというわけではありませんでした。患者さんや紹介Dr.だけではなく、職員も病院の大切な顧客です。当院に必要なのは、①患者さんに来て頂くこと、②患者さんを紹介して頂くこと、そして③辞めないでもすむ、働いてよかったと思える就労環境を作ること、の三つだと考えました。これらを柱に病院理念を「かかってよかった。紹介してよかった。働いてよかった。そんな病院をめざします。」に変えました。
理念の再構築は、病院全体の方向性や質を定める大切なものだと思います。しかし、理念を定めるだけでは何にもなりません。課題解決策をリストアップし、実行する必要があります。当院では、離職対策を最優先事項と位置づけ、院長直轄の「採用・定着活動プロジェクトチーム」を結成し、ハード・ソフト両面の改善に取り組みました。こういった職員の努力を形にするために、「働きやすい病院評価」を受審し、ワーク・ライフ・バランスを客観的に評価していただくことにしました。おかげさまで、平成27年3月に、「Hospirate働きやすい病院評価」の認証を頂くことができました。
その後も「働いてよかった」と思っていただけるような病院をめざした改革に継続的に取り組んでいます。現在は特に「色による識別」に取り組んでいますので、紹介させていただきます。「色による識別」は、区別をわかりやすくし間違いを防ぐ効果だけではなく、チーム内での情報を共有したり、心理的に活気づけるなどの効果もあるようです。代表的なものを紹介します。看護師のユニフォームを2色制にしました。日勤者と夜勤者をユニフォームの色を変えて識別しています。職員にアンケートをとってみますと、「多くの看護師さんが早く出勤して情報収集しているのがわかった。」「夜勤明けと知らずに指示をだすことがなくなった。」「夜間の状況を誰に尋ねればいいのか探さずに済むようになった。」「以前は居残っていても違和感をあまり感じなかったけど、2色になった後は、違和感を感じ、『早く帰ったら…』と声をかけるようになった。」「だらだら残っているような人が少なくなったので、けじめがある良好な職場風土を感じる。」「以前は電話やナースコールがなっても対応しない人がいて、そのような人の存在が気になってしかたなかった。現在は、そのような人はユニフォームの色でoff dutyとわかるので、いらだちが少なくなった。」など、結構評判です。残業も少なくなったようで、全国的にも注目されています。
今後も、病院理念に則って、患者さんと地域のために医療の質を高めていくとともに、職員に「働いてよかった」と思っていただけるような病院をめざしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

熊本地域医療センターのウェブサイトです
http://krmc.or.jp/


〔3〕著書紹介 『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』
NPO法人イージェイネット ホスピレートサーベイヤー
国立国際医療研究センター国府台病院
内野 三菜子  氏

このたび「身近なひとががんになった時に役立つ知識76」という題で、「がんにまつわるさまざまな疑問にお答えします!」をメインテーマに、がんに関する一般的な知識と、治療にまつわるお金周りの心配とを解決できる本をダイヤモンド社より出版いたしました。

https://www.amazon.co.jp/身近な人ががんになったときに役立つ知識76-内野-三菜子/dp/4478069212

がん治療の期間が今まで以上に長くなったことはそれだけ長生きできるようになった証であり、とても嬉しいことでもありますが、一方で治療にかかるお金の算段もよくよく考えないといけない時代になりました。プリンセスマーガレット病院での臨床フェローで学んだことの一つは、そういう「がんと付き合う」人生をキャンサージャーニーと呼び、あらゆる方向から支援するサバイバーシップの重要性でした。
 特に、患者さん自身の生きている実感とその人らしさを支えるためだけではなく、より現実的な問題として、治療費の捻出に、あるいは家族を支えるのに、働きながらがん治療を継続していかざるを得ない状況は以前よりも確実に増えています。同時に治療法の進歩もまた、働きながらのがん治療を可能にするくらい負担の少ないものへと変わりつつあります。
申請で貰えるお金まわりの話については社労士の井戸美枝さんのご協力を得て、Q&A方式でまとめてあります。就労関連の話題についても力を入れました。患者さんおよび患者さんのご家族にとって有用なのはもちろんですが、それを支える企業・職場の同僚、また人事・給与の事務担当者などにも、がんに対する理解を深めていただくのに最適なハンドブックにできたかと思います。是非皆様どうぞお手にとって、そしてご家族ご友人に、あるいは患者さんに、職場の担当者に、お勧めいただけますと幸いです。


〔4〕イージェイネット事務局からのお知らせ

「医師・看護師向けカウンセリング講座」開講のお知らせ(第2報)
             NPO法人イージェイネット 代表理事
瀧野 敏子

対象:医師・看護師
目的:医療現場の医師・看護師が、人間関係、患者対応等で困難をかかえたときに、カウンセリング技法を用いてセルフケア、ラインのケア(部下・同僚に対する)、プロフェッショナルとしてのメンタルケアが体系的にできる能力を身につける。
方法:交流分析の手法を基礎にして感情にアプローチする手法。
講師:株式会社メンタルサポート研究所 代表取締役 倉成央他。
テキスト監修:杉田峰康(日本交流分析学会 名誉理事長)
開講(大阪):2017年4月5日、
月2回(全24回)
詳細はイージェイネット事務局ejnet@ejnet.jpまで。


 *働きやすい病院評価事業(ホスピレート)説明会
  東京と大阪にて、働きやすい病院評価・認証の説明会を
  事前予約制にて開催しております。
  説明会参加の旨をお申し出いただきましたら、
  随時、個別にて調整をさせていただきます。
  詳細は、イージェイネット事務局までお問い合わせください。

【場所】株式会社アポプラスステーション 会議室
    〒102-0071 東京都中央区日本橋二丁目14番1号
                              フロントプレイス日本橋8階
    JR東京駅 八重洲地下街23番出口より徒歩7分
    地下鉄日本橋駅 D1出口徒歩30メートル(浅草線・東西線・銀座線)
    地下鉄茅場町駅 12番出口徒歩3分(東西線・日比谷線)

【大阪会場】
   説明会は2週間程度前までにお申し込いただければ、随時開催を致します。詳細は、事務局までお問い合わせください。

【場所】 株式会社アポプラスステーション 大阪支店 会議室
    〒541-0043
    大阪府大阪市中央区高麗橋四丁目3番7号 北ビル5階
    大阪市営地下鉄 御堂筋線 淀屋橋駅12番出口より徒歩2分

※ メールマガジンの配信を当分の間、月刊から季刊に変更いたします。次回の配信は2017年4月です。


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(特定非営利活動法人 イージェイネット(女性医師のキャリア形成・
 維持・向上をめざす会))
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(お問い合わせ先  ejnet@ejnet.jp  イージェイネット事務局)
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